近年では、新卒学生の入社にあたり一定レベルのTOEICスコアを課す企業が増えています。
企業の側としては大学4年間でしっかり勉強した学生を採用したいと思うのは当然でしょう。また、縮小する国内市場への危機感から事業の海外展開を模索するうえで将来的な海外赴任に耐えうる人材を確保しておきたいというニーズともマッチします。
では、実際のところ新卒学生さんはどのくらいTOEICで点をとっているのでしょうか?
①公式データ
早速ですが、TOEICが公式データとして発表している数字を見てみましょう。 ※少し古いですが、一応、最新の統計です。
- 2017年 485点
- 2018年 489点
- 2019年 488点
となっています。おおむね500点弱といったところでしょうか。
②平均スコアが高い業種
それでは平均スコアが高い業種を見ていきましょう。
- 1位 その他 722点
- 2位 公共団体 693点
- 3位 鉱業 670点
- 4位 マスメディア 647点
- 5位 石油 578点
となっています。
傾向としては、やはり海外とのやりとりが多い業種がランクインしたという印象です。「公共団体」は、おそらく海外向けボランティア団体のことを指しているのだと思います。「鉱業」「石油」は海外からの原材料輸入が欠かせません。また、現代のマスメディアは海外に支局を有しているところも多く、英語は欠かせません。
余談ですが、1位の「その他」が大いに気になります。海外に本拠地を置く秘密結社か何かでしょうか?笑 平均スコアが全業種中、唯一の700点越えです。
③スコアの分布からわかること
次に、スコアの分布について見てみましょう。
- 500点以下 57%
- 505~700点 27%
- 705点以上 16%
最初に平均点500点弱という数字を見ましたが、実は約43%の受験者は505点以上を獲得しています。また、就活生にとって目標とされることが多い700点(厳密には705点)以上も16%います。
この数字を見て企業はどのように感じるでしょうか?私が大手企業の採用担当であれば、やはり上位16%の学生を積極的に狙っていきたいと考えます。
働いたことがある方であれば肌感覚でわかると思いますが、会社で活躍している、いわゆる「優秀な人」の割合はこの16%に近いと感じます。もちろん「TOEIC高得点=仕事ができて優秀」などという単純な図式は成り立たないでしょうが、少なくとも「不真面目で不勉強なハズレ社員」の烙印を押されることはなくなるでしょう。
日本では一度正社員として採用してしまうとなかなか解雇するのが難しいという現実があります。ですので、会社側の本音としては「優秀な人材をとりたい」という思いは当然ありますが、実はそれ以上に「働かない社員だけは絶対NG」という感情の方が強くなります。
であれば、TOEICで高得点をとって採用担当者を安心させる、というのは就活戦術としては正解なのでしょう。

④まとめ
英語を学んでいる方は、多かれ少なかれビジネスの場で英語を生かしたいと考えているものです。そして、人生の分岐点で転職などの決断をしなければならないこともあるでしょう。
TOEICが英語のすべてとは言いませんが、自身の夢や希望を叶えるためにTOEICを求められることがあることもまた事実です。
今回の記事で夢を夢で終わらせず、現実にしたいと本気で思える方がひとりでも増えたら幸いです。
それではまた次の記事でお会いしましょう。お読みいただきありがとうございました。