日本人講師とネイティブ講師(2/2)

英語の勉強法

英会話スクールでの講師選びについて、日本人講師とネイティブ講師の違いについて説明する記事の第2回です。第1回の記事はこちらからどうぞ。

念のため繰り返しますと、初級者はできるだけ日本人講師(または日本語が通じる講師)を、中級者以上の方はネイティヴ講師の割合をできるだけ多くすることを私はオススメします。

今回はネイティブ講師メインの記事です。

①ネイティブ講師のメリット

発音の感覚

まずはやはり発音に関する優位性があげられます。

ネイティブ講師の話した言葉を聞くことで純粋にリスニング力が向上します。また、自身の発音をネイティブに聞いてもらうことで「ネイティブ判定」を受けることができます。この「ネイティブ判定」は思いのほか重要で、日本人同士(日本人講師含む)ではうまく伝わっていた発音がネイティブ講師からすると違和感がある、といった気づきを得ることができます。

とりわけ日本語に存在しない発音、具体的には「R」の音やシュワーサウンド(※)と呼ばれる発音に対する評価が参考になります。私もシュワーサウンドの練習をたくさん行って、ようやくできるようになりました。

※発音記号で/ ə / と表記される音。ハッキリと発音することがないので日本人にとって聞き取りずらく、また発音しにくい。

「間違ってはいないけどネイティブはあまりそう言わない」表現の指導

初級~中級レベルのときには①日本語で言いたいことを考える②それを英語に訳して英作文をつくる③頭の中にできた英作文を発音する、といったプロセスをたどることが多いです。

もちろんこれが完全に間違っているとは言いませんし、これで十分伝わることもあります。

しかし、上記の①→②のプロセスが原因で、ネイティブからすると違和感を覚える文章になることが多々あるようです。例えば、新しくできたハンバーガーショップに行って食事をし、「私はこのハンバーガーが好きになった」と言いたい場合、以下の思考を経る方が多いのではないでしょうか。

  • まず主語は「I」でOK。
  • 「このハンバーガー」だから「this hamburger」かな。よしよし順調順調。
  • 「好きになった」・・・ん?好きは「like」だろうけど「になった」はどう言えばいいんだろう?「become」かな。過去形だと「became」だったような・・・。
  • つなげたら「I became to like this hamburger.」になるけど本当にこれでいいのかな?

結論を言うと、上記の表現で文法的に間違いはありません。また、意味も確実に伝わります。(厳密には上記だと「だんだんと好きになってきた」のニュアンスですが)

ですが、ネイティブは食べた瞬間に「I like it!」で終わります。この感覚がネイティブの感覚なのです。そしてこれはネイティブ講師からでないとあまり指導されることはないでしょう。

一般的な日本人講師であれば、おそらくこの指摘をしません。なぜならば「間違ってはいない英語」だからです。いくらプロの英語講師とはいえ、誤りのない英語を直すのには覚悟が必要だからです。

この「間違ってはいないけどネイティブはあまりそう言わない英語」を是正してくれる存在がネイティブ講師なのです。

②ネイティブ講師のデメリット

十分な指導力がない講師がいる

ネイティブ講師とのレッスンを売りにする英会話スクールは多く存在します。しかし、語学講師として十分な実力がない方を単に「英語圏の方だから」という理由で採用し講師にしているスクールが少なからずあります。

これはどちらかと言えば講師に責任があるというよりもスクール側の問題ではありますが、英語を習う側(とくに初級者)からすると日本人講師の場合と比較して良い講師なのか悪い講師なのかの判定をしにくいため、注意が必要です。

日本語と英語の違いに対する感度

ネイティブ講師からはネイティブの感覚を学ぶことができます。しかし、それは同時に「日本人の感覚が分からない」という見方もできます。ネイティブにとって「当然」のことが私たち日本人にとっては全く当然ではない、ということです。

例えば、英語で会話をしていると、よく「理由」を質問されます。一方、日本人同士の会話では、他愛もない会話をしているときにいちいち理由を聞くことはないでしょう。

もちろんネイティブの方も意地悪で聞いているわけではありません。だれかが意見を述べたらその理由や根拠を尋ねるのが習慣化されているだけなのです。

しかし初級者にとってはここがとてもツラい所です。ただでさえ英語で考えたり発音したりするだけで精一杯なのに、普段は行わない「細かい理由説明」まで行わなければならないので動揺します。さらに追い打ちをかけるように、ネイティブの方が困った表情など作ろうものなら頭の中は真っ白です。

私も昔、「Why do you think so?」と聞かれ、「エッ?Why? Ah, because…ah…because…I think, I think ah…」と完全にフリーズ状態になったことが数えきれないほどあります。

このように、「語学としての英語」以外の部分に対する負荷がかかるのがネイティブ講師のレッスンの特徴であり、これは初級者からすると必ずしもいい結果をもたらしません。むしろアレルギーや恐怖心を抱いてしまい、自信喪失する原因にもなります。

③まとめ

以上、ネイティブ講師のメリット・デメリットをあげてみました。

英会話スクールの利用を検討されている方の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。